大量生産ができず一つ一つ手作りの木のおもちゃは、どうしてもプラスチックおもちゃに比べ高額になります。安価で手ごろなプラスチックおもちゃが多いなか、なぜ木のおもちゃが人気なのでしょうか。
木のおもちゃの魅力についてご紹介します。
INDEX
ぬくもり溢れる木のおもちゃ。
『ぬくもり』は雰囲気だけの事ではありません。
『木材』は断熱性・保温性に優れ「木肌は人肌の次に心地いい」と評されるほど、私たち人間にとって身近で心地いい素材なのです。
何とも言えない手になじむ独特の手触り、素材感。
ずっと触っていたくなるような心地よさを感じます。
大人に比べ、温度変化を敏感に感じる乳幼児の場合、温かみのある木のおもちゃで遊ぶことで心地よく感じ、お母さんになでられているのと同等のリラックス効果が得られます。
ぴかぴか光ったり、電子音のするおもちゃは刺激があり子供にとって魅力的ですが、脳と心が興奮状態となります。シンプルで天然素材の木のおもちゃには先述したようにリラックス効果があり、豊かな心を育みます。
木のおもちゃと知育には深い関わりがあります。
『知育玩具』と聞くと、教材的なおもちゃを連想するかもしれませんが、実は木のおもちゃはとても優秀な知育玩具なのです。
木のおもちゃで遊ぶ事で、実に様々な知育効果が期待できます。記憶力・観察力・表現力・想像力・創造力・言語力・感受性・コミュニケーション能力・ルールを守る社会性など、大きくなるにつれ必要となる能力が楽しみながら身に付きます。
木のおもちゃの定番『積み木』は、1838年フードリヒ・フレーベル(ドイツの教育学者)が考案し知育玩具の先駆けとなりました。約2世紀経つ現在でも知育玩具として根強い人気を誇り「知育と木育を兼ねた優秀な木のおもちゃ」として、世界中で愛用されています。
積み木はシンプルな形だからこそ、小さな子供でもすぐに使い方を理解し直感的に遊ぶ事ができます。遊びながら、子供の想像力が豊かに育ちます。
手や指の神経は大脳とつながっており、第二の脳と呼ばれるほど脳の発達に影響を与える部分です。積み木をはじめとした木のおもちゃは、指先をしっかり使って遊ぶ事ができます。
「手でにぎる・指先でつかむ・ひねる・ひっぱる・つまむ 」などの動作が脳を刺激し発達を促します。
月齢・年齢に合わせた木のおもちゃを与えてあげると、より高い知育効果が期待出来ます。例えば、0歳の赤ちゃんはまだ指先を器用に使うことが出来ません。複雑な形のおもちゃや、小さなおもちゃを与えてもうまく遊べないので、イライラした状態で遊び、集中できず知育効果が期待出来ません。0歳の赤ちゃんには掴みやすいラトル(がらがら)や歯固めがオススメです。
2歳頃になると、言葉・運動能力の発達がめざましく、想像力や自分で物事を考える力も、飛躍的に伸びていきます。この頃から積み木などの知育玩具が本格的に活躍する時期となります。
子供は遊びの天才なので、どんなおもちゃでも自分で考えて遊びますが年齢によって「つまむ」や「はなす」などの動作が出来ない事があるので、子供にとってストレスのない年齢に見合ったおもちゃで遊ばせてあげると、より高い知育効果が期待できます。
ぬくもり溢れる木のおもちゃで遊ぶ事は、《視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚》の五感を刺激し育みます。
生まれたばかりの赤ちゃんは大人のようにくっきりとものが見えず、ぼんやりと見える程度です。生後2ヶ月頃になると形を認識しはじめ、3カ月頃になると、おもちゃを目で追ってみる「追視」をするようになります。
色彩感覚も発達していないので、色鮮やかな木のおもちゃで遊ばせてあげるのも良いですが、生後6カ月以降は、あたたかみある無塗装の木のおもちゃをオススメします。人工的に作られた色ではなく、自然由来の色や木目に触れることで、最低限の情報で遊ぶことになり、視覚はもちろん想像力は無限に広がります。
赤ちゃんにとって、心地良い音の大きさは40-60デシベルと言われています。木のおもちゃ同士をぶつける、「カチカチ」という音はこれにあてはまり、赤ちゃんの耳にとても心地よく聞こえるのです。木の種類や大きさが違うと聞こえ方や音の大きさが異なり、聞き分けの訓練になります。
実は赤ちゃんは嗅覚に対してとても敏感です。まだ視覚が未発達な赤ちゃんが、母乳を飲めるのは嗅覚で探しているからです。味覚と連動しているので嗅覚はとても大切な感覚なのです。
木の匂いはリラックス効果があると言われています。自然豊かな環境に身を置いた時、リラックス出来るのは、視覚的要素や聴覚的要素もありますが嗅覚的要素が大きいのです。かすかな木の匂いを嗅いでいるだけでも、自然とリラックスすることにより前頭前野活動に効果的で感情をコントロール出来ると言われています。
赤ちゃんに木のおもちゃを渡すと、口に入れたり、なめたりします。赤ちゃんにとって口に入れたり、なめたりする行動は、どんなものかを知る「確認作業」で、好奇心の芽を育んでいる証拠なのです。
「味覚」といっても味だけではなく、「堅いや柔らかい」「ザラザラやツルツル」など感触を感じ取る事でもあります。木の種類によって、硬かったり柔らかかったり。シンプルな木を口に入れたり、なめる事で様々な情報を得ることが出来ます。質感のいい木に触れる事で情緒も安定します。
脳の発達には五感のどれも重要な役割を果たしていますが、特に「触覚」は乳幼児期に決定的な意味を持ちます。親からなでられたり、触ってもらって肌からの刺激をたくさん受けることで、不安が和らぎ、安心する効果があるので、なでてあげる事は情緒の安定にとても効果的です。温かみのある木のおもちゃで遊ぶことで心地よく感じ、お母さんになでられているのと同等のリラックス効果が得られます。また集中して遊ぶことができ、高い知育効果が期待できます。
木のおもちゃは壊れにくく、別の素材のおもちゃに比べて、長持ちするという特徴があります。プラスチックおもちゃは落としたりするとすぐに割れたり、経年劣化により数年でボロボロになってしまいますが、木のおもちゃは定期的にお手入れをして大切に使えば2世代、3世代と受け継いで遊ぶ事が出来ます。
当店で取り扱う、積み木以外の木のおもちゃも丈夫なものが多く、長く楽しんでいただけます。特に無塗装の木のおもちゃは、欠けた場合や傷ついた場合も研磨が可能なので、修理しながらより長く使えます。
<スタッフ 後藤>
私の実家には年季の入った積み木が、現在も形そのままに保管してあります。私が生まれた40年ほど前に、両親から贈られた積み木です。ところどころ欠けていますし、歴史を重ねてきたことが一目で分かるほど日焼けしていますが、人工的には出せない良い風合いの積み木として、今も活躍しています。現在は息子たちに受け継がれています。
木は自然素材のため、基本的に有害化学物質が含まれていません。
規制の厳しい昨今、塗料を使用する場合も厳しい安全基準をクリアする必要があります。当店で取り扱う木のおもちゃも、『ST』(日本玩具協会が定めた安全基準)や『CE』(EU加盟国共通の最も厳しい安全基準)に適合しています。
乳児期は特に、何でも口に入れる時期なので「なめちゃだめよ」と止めるのではなく、口に入れても大丈夫な安全な環境を作ってあげることが大切です。誤飲の心配がない大きさの木のおもちゃ、なめても安心な仕上げ剤を使用した木のおもちゃなど。安全なおもちゃを用意してあげると発育に良い影響を与えます。
木のおもちゃはプラスチックおもちゃに比べ大量生産が難しく、更に作業工程が多い為、高額になる傾向にあります。その為、「木のおもちゃは特別なもの」と感じられる方が多く、特別感に繋がっている一つの理由だと感じます。
普段は自分では買わないけど、プレゼントされると凄く嬉しいモノってないですか?フルーツの詰め合わせとか、高級肉のギフトとか。
もう一つは、何といっても雰囲気の良さです。
まるっこいフォルム。
思わず、ナデナデしてしまう手触り。
かすかに香る木の香り。
自然な色合い。
木は人間と同じで、一つ一つ表情が異なる生きた存在です。
その為、意識しない部分で「存在感=特別感」を感じるのだと考えます。
自然に囲まれて生活することが、昔に比べてだんだんと難しくなった昨今。身の回りのものがどんどん進歩し、便利でスピーディーな暮らしが出来るようになった反面、その便利さについて生活していくことで知らない間に脳や身体が疲れ、小さな子供でもストレスがいつの間にかたまっているとも言われています。
機械化、メディア化が進み、ストレスにさらされる現代だからこそ、温もりある木のおもちゃが注目されています。子育て関連機関でも感受性の強い乳幼児期に木のおもちゃで遊ぶ事を推奨しています。