木の手触りは、人肌の次に心地いいと言われています。私たち人間にとって、特に赤ちゃんにとって「木」は、心が落ち着く優しい素材なのです。ぬくもり溢れる木のおもちゃで遊ぶ事は、《視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚》の五感を刺激し育みます。こちらでは「木のおもちゃと五感の関係性について」ご紹介します。
視覚は視力だけではなく、目を動かしたり、ピントを合わせたりする事も視覚に含まれます。多くの情報を得る視覚を鍛えることで、学習面では記憶力や読解力、スポーツ面ではボールを目で追う能力や空間の距離感を感じ取る能力にも影響します。
生まれたばかりの赤ちゃんは大人のようにくっきりとものが見えず、ぼんやりと見える程度です。生後2ヶ月頃になると形を認識しはじめ、3カ月頃になると、おもちゃを目で追ってみる「追視」をするようになります。
まだ視覚や色彩感覚が発達していない生後6カ月頃までは色鮮やかなおもちゃで遊ぶのもいいですが、生後6カ月以降はシンプルな無塗装の木のおもちゃをオススメします。
木は同じ種類でも色や形が異なります。
同じ種類の木でも木目は様々。
人工的に作られた色ではなく、自然由来の色や木目に触れることで、最低限の情報で遊ぶことになり、視覚はもちろん想像力は無限に広がります。
聴覚は他の感覚より比較的発達が早く、お母さんのお腹にいる時から発達し、聞き分けが出来ると言われています。ただ大人に比べるとまだ未発達の為、小さすぎると聞こえません。逆に神経質に無音を心掛けた生活環境で育つと、音に過剰に敏感になる事もあるので、徐々に音に慣れる事も必要です。
赤ちゃんにとって、心地よい音の大きさは40-60デシベルと言われています。これは一般的に図書館内の静かな状態です。木のおもちゃ同士をぶつける、「カチカチ」という音はこれに近く、赤ちゃんの耳にとても心地よく聞こえるのです。
木の種類や大きさが違うと聞こえ方や音の大きさが異なり、聞き分けの訓練になります。積み木同士をぶつけてみたり、ラトルを振って「カラカラ」と音を奏でたりして「あぁ、こうやったらこれくらいの音がなるんだぁ」「大きい音がなったら危ない!」など生活に必要な「音と現象の関連性」が身に付いていきます。
実は赤ちゃんは嗅覚に対してとても敏感です。
まだ視覚が未発達な赤ちゃんが、母乳を飲めるのは嗅覚で探しているからです。味覚と連動しているので嗅覚はとても大切な感覚なのです。
好きなものを思い出し⇒お腹が空く⇒食欲がわく
いつもと違う匂いがする⇒くさったものと判断する
成長や身の危険につながる事もあるので、普段の生活の中で様々な匂いに触れる機会を作って上げることは必要です。
木の匂いもヒノキのように安らぐ香りの木から、銀杏の木のように鼻を刺すような香りの木もあり、様々です。
木の匂いはリラックス効果があると言われています。自然豊かな環境に身を置いた時、リラックス出来るのは、視覚的要素や聴覚的要素もありますが嗅覚的要素が大きいのです。
かすかな木の匂いを嗅いでいるだけでも、自然とリラックスすることにより前頭前野活動に効果的で感情をコントロール出来ると言われています。
赤ちゃんに木のおもちゃを渡すと、口に入れたり、なめたりします。赤ちゃんにとって口に入れたり、なめたりする行動は、どんなものかを知る「確認作業」で、好奇心の芽を育んでいる証拠なのです。
何でも口に入れる時期なので「なめちゃだめよ」と止めるのではなく、口に入れても大丈夫な安全な環境を作ってあげることが大切です。誤飲の心配がない大きさの木のおもちゃ、なめても安心な仕上げ剤を使用した木のおもちゃなど。安全なおもちゃを用意してあげると味覚の発達に良い影響を与えます。
「味覚」といっても味だけではなく、「堅いや柔らかい」「ザラザラやツルツル」など感触を感じ取る事でもあります。
木の種類によって、硬かったり柔らかかったり。
シンプルな木を口に入れたり、なめる事で様々な情報を得ることが出来ます。
質感のいい木に触れる事で情緒も安定します。
「触覚」とは、手や肌から受ける刺激のことです。
手は「第二の脳」と言われるほど大切な部分であり、触覚は脳の発達に欠かせない感覚なのです。
脳の発達には五感のどれも重要な役割を果たしていますが、特に「触覚」は乳幼児期に決定的な意味を持ちます。
親からなでられたり、触ってもらって肌からの刺激をたくさん受けることで、不安が和らぎ、安心する効果があるので、お子さんをたくさんなでてあげましょう。
冒頭の通り、人間にとって「木」の手触りは人肌の次に心地いいと言われています。また断熱性・保温性に優れています。大人に比べ、温度変化を敏感に感じる乳幼児の場合、温かみのある木のおもちゃで遊ぶことで心地よく感じ、お母さんになでられているのと同等のリラックス効果が得られます。また集中して遊ぶことができ、木のおもちゃは知育にも最適です。
自然に囲まれて生活することが、昔に比べてだんだんと難しくなった昨今。身の回りのものがどんどん進歩し、便利でスピーディーな暮らしが出来るようになった反面、その便利さについて生活していくことで知らない間に脳や身体が疲れ、小さな子供でもストレスがいつの間にかたまっているとも言われています。
機械化、メディア化が進み、ストレスにさらされる現代だからこそ、温もりある木のおもちゃが注目されています。子育て関連機関でも感受性の強い乳幼児期に木のおもちゃで遊ぶ事を推奨しています。